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2026/3/30 更新

研究分野および主要研究テーマ

Research Area

シグナル伝達物質として機能する脂質は「脂質メディエーター」と総称されます。川崎医科大学 薬理学教室では、脂質メディエーターを基盤とした生体調節機構の解明と創薬応用を目指し、代謝酵素、細胞機能、疾患、創薬の4つの観点から研究を推進しています。

1)代謝酵素群の機能解析

リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)、N-アシルエタノールアミン(NAE)などの脂質メディエーターは、リン脂質を起点とする代謝経路により生合成され、特異的な酵素群によって分解されます。これらの動的な代謝制御は、生体内でのシグナル強度や持続時間を規定する要素と考えられます。当研究室では、脂質メディエーター代謝酵素の基質選択性、制御機構および病態時における変動を解析することで、脂質メディエーターの恒常性維持機構の解明を目指しています。

2)ストレス応答や細胞運命制御の分子基盤

脂質メディエーターは、多様な細胞機能やストレス応答に関与する可能性が示唆されていますが、その分子機構や相互関係には未解明な点が多く残されています。当研究室では、炎症、細胞老化、小胞体ストレス応答、ミトコンドリアストレス応答、フェロトーシスといった細胞応答と脂質メディエーターとの関連に着目し、薬理学的手法やゲノム編集技術を用いた解析を進めています。さらに、これら複数の応答経路間におけるクロストークや統合的制御機構の解明を通じて、細胞運命決定の新たな分子基盤の確立を目指しています。

3)病態形成機構の解明

脂質メディエーターの産生異常やシグナル伝達の破綻は、線維症、がん、神経因性疼痛、生活習慣病など多様な疾患の発症・進展に関与することが明らかになりつつあります。当研究室では、遺伝子改変動物や各種疾患モデルを用いて、脂質メディエーターおよびその代謝酵素・受容体が病態形成に果たす役割を個体レベルで解析しています。特に、炎症応答、組織線維化、腫瘍微小環境などの病態プロセスにおける脂質シグナルの寄与を明らかにし、疾患横断的な共通基盤の理解を深めることを目指しています。

4)新規治療標的の同定と応用展開

脂質メディエーター関連分子は、新たな創薬標的としても注目されています。当研究室では、脂質メディエーター代謝酵素を標的とした蛍光基質や阻害薬の開発に取り組むとともに、オーファンGタンパク質共役型受容体の内因性リガンドの同定および機能解析を進めています。これらの研究を通じて、線維症や生活習慣病などに対する新規治療戦略の創出を目指しています。

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